ビオチン療法
ビオチンとは、ビタミンB群の一種で、体内で糖分、脂肪、蛋白の代謝にかかわる4種類の酵素をサポートする重要な役割を担っています。
ビオチンが欠乏すると、
①糖代謝が障害されてコラーゲンの合成が低下する
②脂肪酸の代謝が障害されて炎症性物質が多量に産生される
③アミノ酸代謝が障害されて抗体ができにくい
などの異常が起こり、それが掌蹠膿疱症やアトピー性皮膚炎などの皮膚病を招くといわれています。
ビオチン欠乏を起こす原因としては
①生卵の食べすぎ
卵の白身に含まれるアビジンという蛋白がビオチンの働きを邪魔するため、欠乏症が起きる。加熱すると問題はない。
②喫煙
ニコチンを代謝する際、ビオチンが消費される。
③抗生物質
腸内細菌バランスが崩れてビオチン産生力が弱まる。
④過食
脂肪酸に代謝する過程でビオチンが多量に消費される。
などが上げられます。
- 効能
-
最近、見直されてきているビオチンですが、古くからある薬で、急性・慢性湿疹や脂漏性湿疹、小児湿疹などに使われていました。当院では、ビオチンを腸内細菌叢改善、便秘解消の意味でニキビの治療として使用してきましたが、それ以外に酒さ、アトピー性皮膚炎や花粉症の方にも効果を得ています。「免疫系にも関係して免疫の異常を改善してアレルギーを起こりにくくする効果もあるのではないか」という週間朝日の記事(1991年)もあります。
薬としては比較的安全な薬ですので、通常の治療でいつまでも効果が見られない方には一度試してみてよい治療法ではないかと考えます。
※保険適応で、内服による方法と注射(皮下)による方法があります。