性感染症の症状と治療
パートナーも一緒に治療しないと根治しないので、気をつけましょう。
- クラミジア感染症
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クラミジア・トラコマティスという細菌による感染症です。おりものが増えた、下腹部痛、膀胱炎、不正出血などの症状として現れることもありますが、無症候性感染といって症状がほとんど現れない方も半数以上いるので注意する必要があります。
症状が進行すると、子宮頸管炎→卵管炎→卵管周囲炎→骨盤腹膜炎や不妊症を起こすこともあります。○診断
子宮頸管粘液を綿棒で取って行います。結果が出るまでに2~3日要します。
淋菌などの混合感染が多く、また子宮がんのリスクも高いので、子宮がん検診も一緒に受けられることをお勧めします。○治療
抗生剤(ジスロマック)4錠を1回にまとめて内服するだけです。
治療後、治癒しているか確認するために3~4週間後くらいに、再度検査が必要です。 - 淋菌感染症
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淋菌による細菌感染で、男性に比べると女性はあまり症状がなく、おりものが多くなったかな?と感じられるくらいです。しかし、放置すると感染が進み、子宮頸管炎、卵管炎、腹膜炎を引き起こし、不妊の原因にもなります。近年では、オーラルセックスにより咽頭への感染が増加しています。自覚症状があまりないため、知らないうちにうつしていることも多くなっています。
○診断
子宮頸管粘液を綿棒で取って行います。結果が出るまでに2~3日要します。
クラミジアなどの混合感染が多く、また子宮がんのリスクも高いので、子宮がん検診も一緒に受けられることをお勧めします。○治療
抗生剤(ロセフィン)の点滴静注
(多くの抗菌薬に耐性を持つ淋菌が最増加しているため、現在一番有効とされている方法です。)
治療後、治癒しているか確認するために2週間後くらいに、再度検査が必要です。 - 梅毒
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梅毒はトレポネーマという細菌が、皮膚や粘膜の小さな傷から侵入し、血液中に入って全身に広がります。
感染して約3週間後(第1期梅毒)
・痛みのないしこりが、感染したところ(性器、口、肛門、手指など)にできる
・痛みのないリンパ節の腫れ(太ももの付け根)感染して約3か月後(第2期梅毒)
・顔や手足にピンク色の円形のあざ
・赤茶色の盛り上がったブツブツ
・脱毛症状○診断
梅毒血清反応検査(採血)で行います。結果が出るまでに2~3日要します。○治療
ペニシリン系の抗生剤を4~8週間内服します。 - 性器ヘルペス
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単純ヘルペスウイルスが性器に感染して起こる病気です。ヘルペスは体内の神経節に潜伏し何らかの刺激で再発する場合があります。
・初発型
初感染の場合は、一般的に症状が強く、歩行するのもつらいくらいの外陰部の激しい痛み、排尿痛、ふとももの付け根のリンパ節の腫れや痛みがあります。外陰部には赤く皮がむけたような状態や水ぶくれが見られることがあります。これらは、性行為などのあと2~7日くらいで発症します。・再発型
症状は比較的軽く、痛みも少なく、かゆみがある程度です。疲れたり、免疫力が落ちた時に発症するようです。○診断
視診で判断します。○治療
単純ヘルペス治療剤バルトレックスを初感染では5~10日間、再発では5日間程度服用します。 - 尖圭コンジローマ
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ヒトパピローマウイルス(HPV)6型および11型が原因でできる皮膚良性腫瘍で、性器や肛門の周りにイボのような状態でみられます。イボの色は白、ピンク、黒っぽい茶色とさまざまで、大きさは径1~3ミリ前後から、数センチ大とさまざまです。自覚症状はほぼありませんが、まれにかゆみや痛みを感じることがあります。放置すると、患部が広がり、パートナーへ感染させる恐れがあります。もし、妊娠していて感染している場合、出産のとき赤ちゃんにうつしてしまい、重篤な多発性咽頭乳頭腫を発症させることがまれにあります。
また、尖圭コンジローマにかかった人の中には、悪性型のHPVが同時に発見されることがあり、「子宮頸がん」を引き起こすことがありますので、定期的な子宮頚がん検診をお勧めします。○診断
視診で判断します。○治療
・第一選択としてベセルナクリームを使用します。
これは尖圭コンジローマの原因となっているウイルスの増殖を抑制し、免疫を高めウイルスに感染した細胞を障害する作用を持っています。○使用方法について
ベセルナクリームは、適量を1日1回、週3回(1日おき、例えば「月・水・金」あるいは「火・木・土」)、就寝前にぬります。ぬった後はそのままの状態で10時間程度おき(10時間は超えないように!!)、起床後に塗った薬を洗い流してください(薬の使用は原則16週間までです)。○使用上の注意
・塗った部位およびその周辺に症状が強い皮膚の赤み、ただれ、潰瘍、表皮のはがれなどがあらわれやすくなるので、指示された使用方法及び使用量を守ってください。
・セックスパートナーにこの薬がつくと、皮膚障害などがあらわれることがあるので、薬を塗った状態での性行為は避けてください。
※妊娠している方は使用できません。その場合は、CO2レーザーで蒸散する方法も行っています。 - カンジダ膣炎
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おりものの異常を起こす最も頻度の高い感染症で、性行為がなくても発症します。
腟内の常在菌の真菌(カンジダ)が異常に増えることにより、カッテージチーズや豆腐のカスのポソポソした状態のおりものが多くなり、外陰部が痒く、赤く痛くなる事もあります。
原因は、体力や免疫力の低下、妊娠、抗生剤の服用などです。○治療
腟内を洗浄後、抗真菌薬の腟剤を入れます。3~4回の治療が必要です。クリームの外用も併用します。 - トリコモナス腟炎
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トリコモナス原虫の感染によりおこる腟炎です。
黄色い膿性の泡だった悪臭を伴うおりものを伴い、外陰部に強いかゆみが特徴的です。○治療
腟洗浄後、フラジール腟錠を腟内に入れます。数回の通院が必要です。フラジール(内服)を併用することもあります。 - AIDS(HIV)
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当院では検査のみで、治療は行っておりません。
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