生理不順・生理痛
- 月経困難症
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我慢できないほどの強い痛みがあるのが月経困難症です。そのほかの症状として、吐き気、腰痛、頭痛などがあります。月経困難症は2つのタイプに分けられます。
機能性月経困難症
とくにこれといって病気がないのですが、子宮や卵巣が未成熟であったり、生活習慣やストレスが原因で起こります。一般的に思春期から20代前半に見られます。器質性月経困難症
子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気で起こるものをいいます。一般に20代後半から多くなり、生理周期以外にも痛みを生じることもあります。○診断
内診(婦人科)、エコーなどにより器質的疾患の有無を調べます。また、子宮内膜症や子宮腺筋症が疑われる場合は、血液検査CA125(腫瘍マーカー)を測定します。○治療
機能性月経困難症の場合(病気でない場合)
①鎮痛剤の処方
プロスタグランジンの合成阻害作用を持つロキソニンなどを月経前(痛みが出る前)から内服します。
②漢方薬の処方
当帰芍薬散や芍薬甘草湯などです。
③低用量ピルの処方
卵巣からの排卵を抑制する効果があります。
痛みの原因のプロスタグランジンは卵巣が排卵を行うことにより分泌されますので、排卵抑制→プロスタグランジンの抑制となり、痛みが軽減されます。
器質性月経困難症については、疾患のところで説明いたします。 - 月経前症候群(PMS)
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月経開始の3~10日前くらいから月経までの間に、理由もなく不安になったり、イライラの度合いがひどいものを月経前症候群(PMS)といいます。日常生活に、支障をきたすこともあります。
1.イライラする
2.眠くなる
3.むくみがちになる
4.理由もなく不安になる
5.だるくなったり、疲れやすい
6.乳房が張ったり、痛くなる○治療
①低用量ピルの処方
低用量ピルは排卵を一時的にストップさせ、卵巣から分泌される女性ホルモンの分泌量を低下させる働きを利用した治療法です。
②漢方薬の処方
月経前症候群(PMS)は、漢方医学の面から「気」「血」「水」すべてのバランスが悪い状態と考えられています。これを改善するために以下を使い分けます。
加味逍遥散 、 温経湯 、 半夏厚朴湯 、 当帰芍薬散 、 抑肝散 、 五苓散 など。 - 子宮内膜症
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子宮内膜症は、本来、子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜や子宮内膜様の組織が、子宮以外の場所(卵巣・卵管・腸管など)にできる病気です。子宮以外の場所にできた子宮内膜も、本来の子宮の周期と同じような変化が起こります。つまり、月経期になると子宮以外の場所にできた子宮内膜も剥離・出血しますが、血液や内膜を体外に出すことができず、体内に溜まります。結果、チョコレート嚢胞ができたり、諸臓器との癒着が起こり不妊の原因となります。
進行するにつれ月経痛の程度が強くなります。周囲の臓器や組織と癒着すると、月経時以外にも下腹部痛を起こし、腰痛、性交痛、排便痛などを伴います。
○治療
薬物療法と手術、および両者を併用した方法があり、病状の進行度、年齢、妊娠希望の有無によって選択されます。軽度の場合は、鎮痛剤による対症療法を行います。長期にわたり月経痛があり、次第にひどくなる場合は、女性ホルモンの分泌をコントロールする薬によるホルモン療法を行います。重症で薬物療法で効果がない場合は、総合病院等を紹介いたします
- 不正出血
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月経時以外に出血することを不正出血といいます。原因はさまざまです。
○子宮がんによる出血
不正出血がある場合に最も注意が必要です。子宮膣部のびらんや子宮頸管ポリープなどと区別するために細胞診(子宮がん検査)が必要です。○妊娠にかかわる出血
予定よりも月経が遅れ、腹痛を伴った出血があれば、流産や子宮外妊娠であることがあります。早めの処置が必要です。○そのほかの出血
思春期や更年期のホルモンバランスの乱れ、ストレスや過度のダイエットが原因であることもあります。病気ではありませんが、貧血をまねきやすいので気をつけましょう。